食事の終る時分から、総江は再び気を取り直して、シャンとして手際よく跡片付けに精を出したり、全く機嫌のいい顔をして「駄夫さん、泣いたりして済まなかつたわね――」なぞ言ひ乍ら笑ひ出して、坐り直したりした。
さうかうする中に、幾つも幾つも入り乱れた跫音が突然間近かに湧き起つたかと思ふと、忽ち低い話声もガヤガヤ聴きとれてきて、急に入口の戸が開け放たれたが――するともはや陽気なぞめきが戸の内側に舞ひ込んでゐた。
「ただいま――」といふのは聞き馴れない跳ねるやうな男の声で、続いて矢張り耳に馴れない若い女の声がした。