玄也の声も同じ程度に時々鋭く跳ねてくるし、耳に馴れない紅子の声も決して低いものではなかつた。
駄夫は静かに机に向つた。
露店で買つた用箋をひろげて、文字といふこともなく、絵といふこともなく、ただ無駄書をしてゐると、自分といふものを全く忘れて、ふと書き棄てた絵や文字の中に、なんだかいきなり動きさうな不気味な生物を見出してしまふ。
玄也の声も同じ程度に時々鋭く跳ねてくるし、耳に馴れない紅子の声も決して低いものではなかつた。
駄夫は静かに机に向つた。
露店で買つた用箋をひろげて、文字といふこともなく、絵といふこともなく、ただ無駄書をしてゐると、自分といふものを全く忘れて、ふと書き棄てた絵や文字の中に、なんだかいきなり動きさうな不気味な生物を見出してしまふ。