劇しい悪寒のために、身体が支へきれぬほど、ひどい顫えが来てゐるのだ。
敢て、動けぬこともなかつたらうに――この聡明な、この寛大な、この気の毒な、そして、あらゆる甘さを打ち拉がれたこの冷静な若者は、どういふものか、家族に対して莫迦らしいほど駄々ッ子であつた。
母や総江と争ひながら、与里が真つ先に大人げもなく泣き出す場合が多かつたし、その争ひが概ね与里の言ひ掛りで、実に下らないことばかりだ。
劇しい悪寒のために、身体が支へきれぬほど、ひどい顫えが来てゐるのだ。
敢て、動けぬこともなかつたらうに――この聡明な、この寛大な、この気の毒な、そして、あらゆる甘さを打ち拉がれたこの冷静な若者は、どういふものか、家族に対して莫迦らしいほど駄々ッ子であつた。
母や総江と争ひながら、与里が真つ先に大人げもなく泣き出す場合が多かつたし、その争ひが概ね与里の言ひ掛りで、実に下らないことばかりだ。