一人のうのうたることの此の悦び――
斯様に静かな目覚めの後に、そして駄夫はやうやくにして自分はこの部屋に孤独なること、そして昨夜は不思議に花やかな訪れがあつて、二人の新らしい登場者達と枕を並べて寝た筈のこと、夜更けて病める与里の帰宅のことなぞ――そしてそのころ闇の奥にも綺麗な星が煌めきだした……失はれたこんな記憶の断片を一つづつ透明な空のさ中へ撒かれるやうに思ひ起した。
それは不思議に柔らかな色と色との交錯した、アネモネの花のやうな一夜に見えた。
一人のうのうたることの此の悦び――
斯様に静かな目覚めの後に、そして駄夫はやうやくにして自分はこの部屋に孤独なること、そして昨夜は不思議に花やかな訪れがあつて、二人の新らしい登場者達と枕を並べて寝た筈のこと、夜更けて病める与里の帰宅のことなぞ――そしてそのころ闇の奥にも綺麗な星が煌めきだした……失はれたこんな記憶の断片を一つづつ透明な空のさ中へ撒かれるやうに思ひ起した。
それは不思議に柔らかな色と色との交錯した、アネモネの花のやうな一夜に見えた。