駄夫の姿を認めると与里は忽ちホッとして救はれたやうに活気づいたが、力の無さは詮方もなく寝床の上へ首だけを擡げて「昨夜は迷惑をかけて済まなかつたね」とか「今朝もまだ八度あまりの熱があつてフラフラして――」なぞと、痩せくたびれた頬から頤を吊しあげるやうにして無理に笑顔をつくらうとしてゐる。
すると総江は台所から突慳貪な声を絞つて駄夫に呼びかけ
「憚り乍ら今朝はオマンマがおそいよ。
駄夫の姿を認めると与里は忽ちホッとして救はれたやうに活気づいたが、力の無さは詮方もなく寝床の上へ首だけを擡げて「昨夜は迷惑をかけて済まなかつたね」とか「今朝もまだ八度あまりの熱があつてフラフラして――」なぞと、痩せくたびれた頬から頤を吊しあげるやうにして無理に笑顔をつくらうとしてゐる。
すると総江は台所から突慳貪な声を絞つて駄夫に呼びかけ
「憚り乍ら今朝はオマンマがおそいよ。