そこには紅子が立つてゐたし、老婆は已に沓脱へ降りてもう先刻から佇んだまま、どうやら材木のやうに動きも生気も見受けられない様子であつた。
駄夫は玄也が気の毒に思へたので、送り出してやるために彼の後からブラついて行くと、併し玄也は直ぐに沓脱へ降りやうとせず、そこにボンヤリ佇んで出口の方へ目をやつてゐる紅子の傍へ寄つて、思ひがけない気兼をした様をしながら――
「きつとうまくゆくと思ふからね。
そこには紅子が立つてゐたし、老婆は已に沓脱へ降りてもう先刻から佇んだまま、どうやら材木のやうに動きも生気も見受けられない様子であつた。
駄夫は玄也が気の毒に思へたので、送り出してやるために彼の後からブラついて行くと、併し玄也は直ぐに沓脱へ降りやうとせず、そこにボンヤリ佇んで出口の方へ目をやつてゐる紅子の傍へ寄つて、思ひがけない気兼をした様をしながら――
「きつとうまくゆくと思ふからね。