途中から立ち去らうかと思ひつくこともなく、別に感慨を伴ふこともなく、この奇妙な光景を実に冷酷に見了つてしまつたのだ。
そしてさて二階へ立ち帰らうとすると――
紅子は玄也の行つてしまふのを見ると、急に真うしろを振向いて、勿論そこに駄夫の居るのを充分に意識したうへ、併しそれを全然気にかけぬ大胆な物腰で、両手で頭をかかえるやうにして
途中から立ち去らうかと思ひつくこともなく、別に感慨を伴ふこともなく、この奇妙な光景を実に冷酷に見了つてしまつたのだ。
そしてさて二階へ立ち帰らうとすると――
紅子は玄也の行つてしまふのを見ると、急に真うしろを振向いて、勿論そこに駄夫の居るのを充分に意識したうへ、併しそれを全然気にかけぬ大胆な物腰で、両手で頭をかかえるやうにして