勿論駄夫は他人のことに身を入れて思ひ入る程殊勝な男ではなかつたが、味気無い一つの世相を見ることは、駄夫にとつて、それは、駄夫自身の生存をいささか悲しく思はせるに充分であつた。
やはり朗らかな気持にはなれない。
二階へ来ると、総江は窓際に多次郎と坐つて遊ぶふりをしてゐたが、その落付かない様子からして、総江は今迄階下の話を立聞きに出向いてゐたのだと推察された。
勿論駄夫は他人のことに身を入れて思ひ入る程殊勝な男ではなかつたが、味気無い一つの世相を見ることは、駄夫にとつて、それは、駄夫自身の生存をいささか悲しく思はせるに充分であつた。
やはり朗らかな気持にはなれない。
二階へ来ると、総江は窓際に多次郎と坐つて遊ぶふりをしてゐたが、その落付かない様子からして、総江は今迄階下の話を立聞きに出向いてゐたのだと推察された。