その男は痩せて陰惨で蟷螂のやうに神経質で、そのために丁度日陰の杭のやうに黒ずんでゐたが、其の胴体の一部のやうに大きな折鞄を抱き込んでゐたので、これは保険の外交員と一見して見受けられた。
訊いてみると、併し其ではないのだつた。
数杯の酒に男は忽ち赤黒くほてつた顔をして、江戸前のいなせな言葉に関西訛りのアクセントが時々絡みつくせつかちな口調で、心安く二人へ話しかけるのを聞いてみると、男は系図屋といふ不思議な商売を営んでゐた。
その男は痩せて陰惨で蟷螂のやうに神経質で、そのために丁度日陰の杭のやうに黒ずんでゐたが、其の胴体の一部のやうに大きな折鞄を抱き込んでゐたので、これは保険の外交員と一見して見受けられた。
訊いてみると、併し其ではないのだつた。
数杯の酒に男は忽ち赤黒くほてつた顔をして、江戸前のいなせな言葉に関西訛りのアクセントが時々絡みつくせつかちな口調で、心安く二人へ話しかけるのを聞いてみると、男は系図屋といふ不思議な商売を営んでゐた。