と男は気持良ささうにカラ/\哄笑して、さういふ訳だから自分の店には四五人の苦学生を使つてゐるが、それでも目の廻るほど忙しくて莫迦々々しいほど儲かるのだと熱心に説明した。
そして、先夜も吉原へ豪遊に出掛けたとか、その日は丁度大金を所持してゐたので花魁も吃驚して店の金庫へ蔵してくれたこと、娼妓も三十を過ぎると全てに親切である話、等々、大凡斯様な数々の豪奢を説いて寧ろ辺りに北風を漲らしたのであつた。
去りぎわに男は大型の名刺を取出して駄夫にだけ与へ(――少くとも与里の方を勤め人と見たのであらう、この眼識には駄夫も幾分感心した。