そして、先夜も吉原へ豪遊に出掛けたとか、その日は丁度大金を所持してゐたので花魁も吃驚して店の金庫へ蔵してくれたこと、娼妓も三十を過ぎると全てに親切である話、等々、大凡斯様な数々の豪奢を説いて寧ろ辺りに北風を漲らしたのであつた。
去りぎわに男は大型の名刺を取出して駄夫にだけ与へ(――少くとも与里の方を勤め人と見たのであらう、この眼識には駄夫も幾分感心した。
併し男は駄夫を貧困な画家と見た形跡があつた――)
そして、先夜も吉原へ豪遊に出掛けたとか、その日は丁度大金を所持してゐたので花魁も吃驚して店の金庫へ蔵してくれたこと、娼妓も三十を過ぎると全てに親切である話、等々、大凡斯様な数々の豪奢を説いて寧ろ辺りに北風を漲らしたのであつた。
去りぎわに男は大型の名刺を取出して駄夫にだけ与へ(――少くとも与里の方を勤め人と見たのであらう、この眼識には駄夫も幾分感心した。
併し男は駄夫を貧困な画家と見た形跡があつた――)