道路――いや、道路と呼ぶには聊か顔負けのする代物で、左右両側の道ともにせいぜい一間幅ほどの露路である――その又露路の左右が蜒々として連なり流れる長屋であつた。
これらの長屋は所謂貧民窟なぞと呼びならわすあの種類で、見渡す限り蜒々として同じ方向へ流れて行く長い長い幾棟もの長屋であるが、みんな丈がチンチクリンで恐ろしく平らべつたいトタン葺きの平家であつた。
それ故、この露路の入口に立ち止つて奥手の方を眺めると、結局高さの目立つものは何一つとして見当らず皆一様にブス/\と光を燻し返してゐる低い屋根ばかりで、殊のほか空が大きくマンまるく覗かれた。