その長屋では、ドンヅマリに住んでゐた矢張り肥つた婆さんが勧進元で、長屋一帯に笑ひ本の貸借が流行を極めたものであつた。
長屋の人々はそれだけが一日の楽しみのやうに、ひところ此の流行で持ちきりであつた。
流石に勧進元の婆さんは蔵書の数でも大関で数十冊とあり、運転する書籍の大部分は此処から出てゐたが、結局婆さんは借金で首の廻らないことになり、蔵書を売り払つてしまひ、界隈はとみに淋しい思ひをしたりした。
その長屋では、ドンヅマリに住んでゐた矢張り肥つた婆さんが勧進元で、長屋一帯に笑ひ本の貸借が流行を極めたものであつた。
長屋の人々はそれだけが一日の楽しみのやうに、ひところ此の流行で持ちきりであつた。
流石に勧進元の婆さんは蔵書の数でも大関で数十冊とあり、運転する書籍の大部分は此処から出てゐたが、結局婆さんは借金で首の廻らないことになり、蔵書を売り払つてしまひ、界隈はとみに淋しい思ひをしたりした。