長いこと隣家の物音はないのであつた。
いつぞや、空家の孤独に浸り乍ら静かな昼寝を貪らうと思ひ、埃の中へ踏み込んでみたのであるが、空洞な部屋々々に立ち籠めた重い澱みは人の生気とそぐはない廃墟のやうな過去の死臭に満ちてゐて、睡むる気持にはなれなかつた。
もう二年越空家のままでゐるのだといふ。
長いこと隣家の物音はないのであつた。
いつぞや、空家の孤独に浸り乍ら静かな昼寝を貪らうと思ひ、埃の中へ踏み込んでみたのであるが、空洞な部屋々々に立ち籠めた重い澱みは人の生気とそぐはない廃墟のやうな過去の死臭に満ちてゐて、睡むる気持にはなれなかつた。
もう二年越空家のままでゐるのだといふ。