私の性質として、決してまともに整然たる理論を扱ひ得ない私は、たちの良くない皮肉によつて、それは寧ろ殆んど一種の致命的な侮辱でさへあるところの悪意を籠めて、例へば、「私は貴女の夫ではありませんからネ」とか、「貴女を護衛するナイトはもう一人ある筈だから――」なぞ言ふのであつた。
すると彼女は、どんなにも努力を費して、しかし余りに激しすぎた憎悪のために、結局遂に何も言ふことが出来なかつたり、或ひは又、辛うじて、「無意味なことを仰有いますな」と呟くのであつた、其の言葉に胸を突かれる私は、突嗟に激しい自卑を覚え――しかし自卑を、自卑として感じる前に忽ち其れを怒りに変へて、わけもなく逆上してしまひ、全く混乱して、
「私はもう直き死ぬのだ……」