何故ならば、私は、田代笛六の訪問によつて、毎夜の静かさを掻き乱されるからであつた。
田代笛六の生活――
四十五円の収入から、先づ支出として七円の間代を支払ひ、充分に享楽して(彼の言葉によれば――)、扨て、尚かつ月々拾円の貯金を残すところの彼は、稀に見る勤倹精神の持主であつた。
何故ならば、私は、田代笛六の訪問によつて、毎夜の静かさを掻き乱されるからであつた。
田代笛六の生活――
四十五円の収入から、先づ支出として七円の間代を支払ひ、充分に享楽して(彼の言葉によれば――)、扨て、尚かつ月々拾円の貯金を残すところの彼は、稀に見る勤倹精神の持主であつた。