私は、さらに忌々しい騒音として、一つの悲鳴を書き洩らしてはならない。
私は、その悲鳴を聞くにつけて、苛立ちのあまり激しい身悶えを感ずるにも拘らず、その悲鳴は常に私を対象として、私に救ひを求めるために発せられるがために、否応なく私は、悲鳴に向つて歩いて行かねばならなかつた、然し私は、それは決して悲鳴に応ずるためではなく、その悲鳴を寧ろ厳しく窘めるために、唇を顫はせ乍ら、ムッとして歩き進んで行くのであつた。
その悲鳴は、ある時は階下に、ある時は隣室に、(そして、恰かも私の平和を掻き乱すためにのみ――)湧き起るのであつた。