私達は重なり合つて木暗い坂道を転がりながら――そして、私自身の幻の中でも、そして、幻を見る私自身の感覚までが、私達は重なり乍ら、まるで空気となつたやうに、其処に見えなくなるのであつた。
私は知つてゐるが、道幅の狭い、木立の深い此の坂道で、私達が重なり乍ら激しく転落する時には、鬱蒼とした繁みを越えて、点描された星かのやうにポツポツと眺め取られる大空が、泌み渡るやうに蒼く蒼くて、キラキラとうち耀いてゐたのであつた。
さういふ幻を描くことによつて、然し決して愉快でない私は――なぜなら、忽ち私は羞ぢらう気持を感じてしまひ、忽ち自分が厭になつてしまふので、ややともすれば、苦い怒りの現実へ踏み戻らうとするものだから、