かなり夜更けてもう人波の散りかけた頃であつたが、先生は不思議な青年に目を止めたので、なぜともなくその後をつけることにした。
尤もその青年はそれほど風変りなわけでもない。
ただ夜更には、行人といへば、多く吹溜りの屑のやうに零れ残つた三々五々の連れ立ちであるのに、この青年は一人ぽつちで、それも至極淡々と羨ましいほど心なく、恍惚として静かな足を踏み流してゐる。
かなり夜更けてもう人波の散りかけた頃であつたが、先生は不思議な青年に目を止めたので、なぜともなくその後をつけることにした。
尤もその青年はそれほど風変りなわけでもない。
ただ夜更には、行人といへば、多く吹溜りの屑のやうに零れ残つた三々五々の連れ立ちであるのに、この青年は一人ぽつちで、それも至極淡々と羨ましいほど心なく、恍惚として静かな足を踏み流してゐる。