坂口安吾 『群集の人』 そして四辺へ目をやつて全く人気ないのを知ると、跫音を殺して中へ這入つた。 先生は一段毎に階段と自分の心と測り合せるやうにして静かに昇つた。 石造建築に籠つた冷気が妙に鋭く、併し澱んで液体のやうにヌルヌルと手頸に滑り顔になだれるやうであつた。 坂口安吾の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア