それに又全快し乍ら狂人で暮す此の秀才の物語るところが、その奇怪な心境を通して眺められた此の病院の様々な風変りな出来事や、それに対する鋭いそして奇妙な彼の観察や批評等、全てが興味深いもので、いはゞ私は全く打算的に、面白づくで此の病院へ日参してゐた。
ところが暫くするうちに、私達の間には話の種が尽きてしまつた。
私達は面会の時間中ボンヤリと屈託して、沈黙に悩むあまり、時々自分乍ら思ひもよらない言葉を不意に喉の外へ逃がして気まづい目を伏せ合つてしまふ。
それに又全快し乍ら狂人で暮す此の秀才の物語るところが、その奇怪な心境を通して眺められた此の病院の様々な風変りな出来事や、それに対する鋭いそして奇妙な彼の観察や批評等、全てが興味深いもので、いはゞ私は全く打算的に、面白づくで此の病院へ日参してゐた。
ところが暫くするうちに、私達の間には話の種が尽きてしまつた。
私達は面会の時間中ボンヤリと屈託して、沈黙に悩むあまり、時々自分乍ら思ひもよらない言葉を不意に喉の外へ逃がして気まづい目を伏せ合つてしまふ。