辰夫は何事にも諦めよく深く自らを卑下してゐたが、自分の家族に就てだけは温い愛を信頼してゐた。
いや、彼は決してそれを信じてはゐないのだが、信じやうとせずには此の冷い檻の中に生き続ける力が湧かないのである。
彼は子供の頃から冷酷な家庭に育つたのだが、それでも矢張り家族の温情を空想せずには檻の中で生きられないものらしい。
辰夫は何事にも諦めよく深く自らを卑下してゐたが、自分の家族に就てだけは温い愛を信頼してゐた。
いや、彼は決してそれを信じてはゐないのだが、信じやうとせずには此の冷い檻の中に生き続ける力が湧かないのである。
彼は子供の頃から冷酷な家庭に育つたのだが、それでも矢張り家族の温情を空想せずには檻の中で生きられないものらしい。