坂口安吾 『Pierre Philosophale』 その黄昏、最後の会社を後にした呂木は、郊外の下宿まで歩いて帰らうと思つた。 道はもう闇の底に沈んだころ、途中からひそひそと霙が降りだした。 外套の襟をたて、ときどき暗い雪空を振仰ぐと、街燈のまわりだけいつさんに落ちてくる花粉が見えた。 坂口安吾の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア