坂口安吾 『Pierre Philosophale』 音の死滅した夜更けの駅路で、ふやけた電燈の下へ左手をかざし、長いあひだ呂木はその手を眺めてゐた。 そして、やつれた手を貪るやうに嗅ぎ嗅ぎして、そのあくどい人間臭に無心な悦びを覚えてゐた。 呂木は酒に溺れた。 坂口安吾の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア