それから、村そのものが一つの動揺となつて、居たり立つたり空間の一ヶ所を穴ぼこのやうに視凝めたり、埋葬のやうにゆるぎだしたり、ぢりぢりと苛立ちはじめたりした。
そこで、感じ易い神経をもつた山の狸や杜の鴉がどんなに勝手の違つた思ひをしたかといふことは、彼等が顔色を変えて巣をとびだすと突然夢中に走りはじめたことでも分るのである。
全く、同情ある読者諸兄は彼等の心情に一掬の泪を惜しまないであらうが、彼等は今や一年に一度の、いや、恐らく一生に一度かも知れたものではない山海の珍味を失はふとしてゐるのだ。
それから、村そのものが一つの動揺となつて、居たり立つたり空間の一ヶ所を穴ぼこのやうに視凝めたり、埋葬のやうにゆるぎだしたり、ぢりぢりと苛立ちはじめたりした。
そこで、感じ易い神経をもつた山の狸や杜の鴉がどんなに勝手の違つた思ひをしたかといふことは、彼等が顔色を変えて巣をとびだすと突然夢中に走りはじめたことでも分るのである。
全く、同情ある読者諸兄は彼等の心情に一掬の泪を惜しまないであらうが、彼等は今や一年に一度の、いや、恐らく一生に一度かも知れたものではない山海の珍味を失はふとしてゐるのだ。