僕はこの間読み返してみて大へん面白かつた。
夏目金太郎がよく性格が出てゐると批評してあるのは別として僕はこの小説の事実がそれで充分面白いと思つた。
へどもどいふ理窟なんかちつともチャームがないし、さうかといつて空想に土台を置いたセンチメンタルなどは僕の阿母さんにでも泪を流させればいいのだしといつて事実――現象とでも言ひませうか――は理知とか思想の力でもつて産み出されてゆくのだから、何かしつかりした思想を持つてゐなくては生々とした事実は掴めやしない。
僕はこの間読み返してみて大へん面白かつた。
夏目金太郎がよく性格が出てゐると批評してあるのは別として僕はこの小説の事実がそれで充分面白いと思つた。
へどもどいふ理窟なんかちつともチャームがないし、さうかといつて空想に土台を置いたセンチメンタルなどは僕の阿母さんにでも泪を流させればいいのだしといつて事実――現象とでも言ひませうか――は理知とか思想の力でもつて産み出されてゆくのだから、何かしつかりした思想を持つてゐなくては生々とした事実は掴めやしない。