二階家の庭に妹達が植えた草花には見向きもせずに、彼は小さい池にをたまじやくしなどを育てたり、客間に置いた二葉オルガンを弾いたりして、無口の家居を娯しんでゐた。
家族の前でたとへば彼になかなか愛情をよせた母親と口を利いてゐる時でも、ホントのことを言つたことはない。
母親が彼の言葉を嘘と感づいたのは、大学生がしばしば夜晩く帰宅して翌朝に言ふ口実が二三日して聞いてみると全く違ふことがあつてからであつた。
二階家の庭に妹達が植えた草花には見向きもせずに、彼は小さい池にをたまじやくしなどを育てたり、客間に置いた二葉オルガンを弾いたりして、無口の家居を娯しんでゐた。
家族の前でたとへば彼になかなか愛情をよせた母親と口を利いてゐる時でも、ホントのことを言つたことはない。
母親が彼の言葉を嘘と感づいたのは、大学生がしばしば夜晩く帰宅して翌朝に言ふ口実が二三日して聞いてみると全く違ふことがあつてからであつた。