併しこんな悪所通ひのうちに、まづ青年に気付いたことは、なるほど自分は時々自責自卑を感じはするが、結局それをおしつめてみると、ただに自らの何物かに対してそれを感じてゐるのであつて、他の誰人に対して感じたわけでもなかつたといふ一事でした。
それを言ひ換へれば、彼はただ世の中のしきたりから、単に空虚な自卑のまねごとをしてゐることに他なりません。
さて話はかくて此の物語の中に於て作者が最も語りたかつたところのものに近づいてきた、それは青年の心に根をすえた一見錯倒した姦淫の心に就てであります。
併しこんな悪所通ひのうちに、まづ青年に気付いたことは、なるほど自分は時々自責自卑を感じはするが、結局それをおしつめてみると、ただに自らの何物かに対してそれを感じてゐるのであつて、他の誰人に対して感じたわけでもなかつたといふ一事でした。
それを言ひ換へれば、彼はただ世の中のしきたりから、単に空虚な自卑のまねごとをしてゐることに他なりません。
さて話はかくて此の物語の中に於て作者が最も語りたかつたところのものに近づいてきた、それは青年の心に根をすえた一見錯倒した姦淫の心に就てであります。