こんな山の一つに木暮山といふのがあり、その山の中腹は深い谷川に囲まれて約八段歩の広さをもつ日当りの良い草原になつてゐました。
この草原の中央に形のととのつた丸太小屋があるのです。
これは青年の先輩に当る夢に富んだ一哲学者がこの草原に牛を飼ひ、自ら牛の王様となるために設計したものですが、この夢を実現しないうちに山を降り、いはば彼は貧乏に負け、夢に富んだ小屋をのこして片田舎の教壇へ逃げなければならなかつた、その遺跡は今も尚歴然と形を存してゐるのでした。
こんな山の一つに木暮山といふのがあり、その山の中腹は深い谷川に囲まれて約八段歩の広さをもつ日当りの良い草原になつてゐました。
この草原の中央に形のととのつた丸太小屋があるのです。
これは青年の先輩に当る夢に富んだ一哲学者がこの草原に牛を飼ひ、自ら牛の王様となるために設計したものですが、この夢を実現しないうちに山を降り、いはば彼は貧乏に負け、夢に富んだ小屋をのこして片田舎の教壇へ逃げなければならなかつた、その遺跡は今も尚歴然と形を存してゐるのでした。