頭蓋骨に亀裂がはいつて爾来二ヶ年水薬を飲みつゞけたが、当座は廃人になるんぢやないかと悩みつゞけて憂鬱であつた。
こんな話をきくと大概の人が御愁傷様でといふやうな似たりよつたりの顔付をするものだが、ところがこゝにたつた一人、私がこの話をしかけると豆鉄砲をくらつた鳩のやうに唖然として(これは喋つてゐる私の方も唖然とした)つづいて羨望のあまり長大息を洩らした男があつた。
菱山修三といふ詩人である。
頭蓋骨に亀裂がはいつて爾来二ヶ年水薬を飲みつゞけたが、当座は廃人になるんぢやないかと悩みつゞけて憂鬱であつた。
こんな話をきくと大概の人が御愁傷様でといふやうな似たりよつたりの顔付をするものだが、ところがこゝにたつた一人、私がこの話をしかけると豆鉄砲をくらつた鳩のやうに唖然として(これは喋つてゐる私の方も唖然とした)つづいて羨望のあまり長大息を洩らした男があつた。
菱山修三といふ詩人である。