若園君
往昔とつくにの曠野に一匹の魔物が棲んでおりました。
人里もなく森林もなく徒らに不毛の曠野がつづくばかりで、日毎々々の太陽は地平線から垂直に登り、頭上をぐるつと一回転して向ふ側の地平線へ没して行くといふ、光と夜のほかには陰といふもののない、まことに魔物には棲みにくい単調なところであります。
若園君
往昔とつくにの曠野に一匹の魔物が棲んでおりました。
人里もなく森林もなく徒らに不毛の曠野がつづくばかりで、日毎々々の太陽は地平線から垂直に登り、頭上をぐるつと一回転して向ふ側の地平線へ没して行くといふ、光と夜のほかには陰といふもののない、まことに魔物には棲みにくい単調なところであります。