人里もなく森林もなく徒らに不毛の曠野がつづくばかりで、日毎々々の太陽は地平線から垂直に登り、頭上をぐるつと一回転して向ふ側の地平線へ没して行くといふ、光と夜のほかには陰といふもののない、まことに魔物には棲みにくい単調なところであります。
ところがこやつ相当に呑気な奴で、退屈であつたには相違ないが別段それを苦にやむといふほどでもない、これを魔物の 〔Faine'ant〕 と申しませうか、なか/\美事な心境を会得した奴です。
昼は地下に潜入して昼寝をむさぼり、夜となれば星明りの青白い曠野の上を駈つこなぞして、結構面白がつてゐたのです。