夜が落ちると、北風の悲鳴と海鳴りが、急にいちぢるしく唸りはじめてくるのだつた。
当太郎の失踪が確定してしまふと、まさ子は却つて物憂いやうな落付をとりもどしてきた。
時間の経過につれて悲観的な気分が部屋のどんな気配の中にも深まりはじめ、淵へ突落されてゆくやうな手触りのない不安がせまりはじめてくるうちに、夜がとつぷり落ちきつてしまふと、まさ子の物憂い落付は一層病的な青白さを漂はしてきた。
夜が落ちると、北風の悲鳴と海鳴りが、急にいちぢるしく唸りはじめてくるのだつた。
当太郎の失踪が確定してしまふと、まさ子は却つて物憂いやうな落付をとりもどしてきた。
時間の経過につれて悲観的な気分が部屋のどんな気配の中にも深まりはじめ、淵へ突落されてゆくやうな手触りのない不安がせまりはじめてくるうちに、夜がとつぷり落ちきつてしまふと、まさ子の物憂い落付は一層病的な青白さを漂はしてきた。