むしろ悲痛な救ひさへ感じられる。
ところが悩むべきところにも悩みから目を掩ふた枯淡なる風格に接し、その描きだす枯淡なる性慾図にふれると、悩む者の蒼ざめた悲しさがないゆえ、一途に毒々しい。
正宗白鳥氏の「痴人語夢」(中央公論)を読むと、その書き出しに有島武郎の「或る女」のことが書かれてあるが、痴人語夢の主人公文学青年「彼」は「或る女」に取り扱はれてゐる国木田独歩の恋愛事件に、独歩が青白い皮膚をひんむかれてゐるのが嘔吐を催すほど醜悪だと感じてゐる。
むしろ悲痛な救ひさへ感じられる。
ところが悩むべきところにも悩みから目を掩ふた枯淡なる風格に接し、その描きだす枯淡なる性慾図にふれると、悩む者の蒼ざめた悲しさがないゆえ、一途に毒々しい。
正宗白鳥氏の「痴人語夢」(中央公論)を読むと、その書き出しに有島武郎の「或る女」のことが書かれてあるが、痴人語夢の主人公文学青年「彼」は「或る女」に取り扱はれてゐる国木田独歩の恋愛事件に、独歩が青白い皮膚をひんむかれてゐるのが嘔吐を催すほど醜悪だと感じてゐる。