さういふ表て立つた筆力を殺し、物々しい描写をさけてゐるところに勝れた味ひがあるといふのは、当らない。
簡略にして要をつくしてゐるといふなら簡略も要のぶんだけの働きをしてゐることになるだらうが、この作品の簡略な筆触は一向人物を活写せず、少しく濃厚な筆力を用ひたならこれ以上に人物を活写することは容易な業と思はれるからである。
人物を活写せずして活写以上の味はひを出してゐるなぞいふ、空想的な文章論は意味をなさない。
さういふ表て立つた筆力を殺し、物々しい描写をさけてゐるところに勝れた味ひがあるといふのは、当らない。
簡略にして要をつくしてゐるといふなら簡略も要のぶんだけの働きをしてゐることになるだらうが、この作品の簡略な筆触は一向人物を活写せず、少しく濃厚な筆力を用ひたならこれ以上に人物を活写することは容易な業と思はれるからである。
人物を活写せずして活写以上の味はひを出してゐるなぞいふ、空想的な文章論は意味をなさない。