すくなくとも僕にとつては、まことに謙虚な質問ができるやうな大海のやうにフランクな心構えになること、そのことだけで僕の文学がすでに半分くらゐは光りある救ひのなかへ足を踏み入れることになりさうだと感じました。
さうして、要するに僕はつまり終生他人に質問はできさうもなく、僕の文学は自問自答の孤独な生涯を送るのだらうと、いささか暗澹として考へたのです。
けれどもこれは一に貴兄への質問といふことにあれかれと正面から肝胆を砕いた揚句、一向埒のあかないうちに遠慮会釈もなく締切の期日がとつくに過ぎ去つてしまつたことに由来する悒鬱極まる自責の念が手伝つて、いささか無役に暗澹としすぎたのかも知れません。