したがつて胴も手頸も赤子のやうにまるまるとして、ちやうど呑気な、至つて無邪気な、象の子供のやうであつた。
蒲原氏は歩んど書斎に暮してゐた。
読書をしたり、かれこれ二十年このかたの書き物をつづけてゐるといふのであつたが、極めて貞淑な、一心同体の蒲原夫人でさへ書き物のことは全然黙殺しきつてゐて、その完成に期待をかける人物はまさしく地上に一人もなかつた。
したがつて胴も手頸も赤子のやうにまるまるとして、ちやうど呑気な、至つて無邪気な、象の子供のやうであつた。
蒲原氏は歩んど書斎に暮してゐた。
読書をしたり、かれこれ二十年このかたの書き物をつづけてゐるといふのであつたが、極めて貞淑な、一心同体の蒲原夫人でさへ書き物のことは全然黙殺しきつてゐて、その完成に期待をかける人物はまさしく地上に一人もなかつた。