でもそんなに言ふほどのものでもないわ」と口を入れる始末で、一座が一本の貧乏徳利にまつたく熱中しはじめたのだ。
石河だけがその徳利を見たことがなかつた。
この話に除外されたのが癪にさはつたばかりではなく、もともと石河は几帳面な会社員でこの家庭の、無軌道な純情ぶりが時々爽快ではあつても、鼻持ちのならない時があるのであつた。
でもそんなに言ふほどのものでもないわ」と口を入れる始末で、一座が一本の貧乏徳利にまつたく熱中しはじめたのだ。
石河だけがその徳利を見たことがなかつた。
この話に除外されたのが癪にさはつたばかりではなく、もともと石河は几帳面な会社員でこの家庭の、無軌道な純情ぶりが時々爽快ではあつても、鼻持ちのならない時があるのであつた。