一喝をくふと吃驚りして、孔のあくほど正義派の会社員を瞶めてゐたが、やがてまるまるとした童顔が次第々々に歪んできて、快心の、然し甚だ人の悪い微笑の皺が、かすかながら歴々と刻まれてきた。
「おお、それでは石河さん、それはたしかに貴方が最も適任者ですよ――」
と、大急ぎで言ひはじめると、その顔面には包みきれない満悦が溢れあがつてきたのであつたが、流石に多少は満悦を隠すやうに努めながら、益々威勢の良い早口で、
一喝をくふと吃驚りして、孔のあくほど正義派の会社員を瞶めてゐたが、やがてまるまるとした童顔が次第々々に歪んできて、快心の、然し甚だ人の悪い微笑の皺が、かすかながら歴々と刻まれてきた。
「おお、それでは石河さん、それはたしかに貴方が最も適任者ですよ――」
と、大急ぎで言ひはじめると、その顔面には包みきれない満悦が溢れあがつてきたのであつたが、流石に多少は満悦を隠すやうに努めながら、益々威勢の良い早口で、