車を止めて道へ降りると、善光寺へまつすぐ走るだらだらと白けた道が、夜の薄汚い光の中では却つて何やら生き生きとして、旅情をそそるに充分だつた。
「とにかく、あの、私達はすこし散歩してみませう……」
と言ひのこして、自分は忽ちひとりフラフラと街の彼方へ消え込みさうな蒲原氏を呼びとめて、良人の親友であり最大の理解者である蒲原夫人は噴きだしたいのを漸くこらへて、言つた。
車を止めて道へ降りると、善光寺へまつすぐ走るだらだらと白けた道が、夜の薄汚い光の中では却つて何やら生き生きとして、旅情をそそるに充分だつた。
「とにかく、あの、私達はすこし散歩してみませう……」
と言ひのこして、自分は忽ちひとりフラフラと街の彼方へ消え込みさうな蒲原氏を呼びとめて、良人の親友であり最大の理解者である蒲原夫人は噴きだしたいのを漸くこらへて、言つた。