蒲原氏は内心ホッとしたらしいが、てれかくしとも違ふもぢもぢした身振りで、「私一人では……」訴へるやうに夫人の顔と栗谷川浩平の顔を仰いだ。
もとより蒲原氏一人を置き残して行ける筈のものではないので、蒲原夫人と秋蘭が警察へ、蒲原氏と浩平は夜道の上へ残された。
とりあへず善光寺裏へまはつて、桜枝町の薄汚い古道具屋をのぞいてみたが、浩平がひそかに考へてゐた通り貧乏徳利はでてゐなかつた。
蒲原氏は内心ホッとしたらしいが、てれかくしとも違ふもぢもぢした身振りで、「私一人では……」訴へるやうに夫人の顔と栗谷川浩平の顔を仰いだ。
もとより蒲原氏一人を置き残して行ける筈のものではないので、蒲原夫人と秋蘭が警察へ、蒲原氏と浩平は夜道の上へ残された。
とりあへず善光寺裏へまはつて、桜枝町の薄汚い古道具屋をのぞいてみたが、浩平がひそかに考へてゐた通り貧乏徳利はでてゐなかつた。