夕食を終ると、蒲原氏はただ一人彷徨ふやうな散歩にでかけた。
すでに薄明がたれこめ、山々は暗紫色に溶けはじめて夜のさなかへ消え落ちようとする頃であつた。
温泉部落を出外れて谷川を渡り終つたところから、間道とおぼしい小径をことさら選んで激しい傾斜を登つて行くと、やがて山岸へ現れて、そこから見晴らしのひらけた尾根伝ひの径が走つてゐた。
夕食を終ると、蒲原氏はただ一人彷徨ふやうな散歩にでかけた。
すでに薄明がたれこめ、山々は暗紫色に溶けはじめて夜のさなかへ消え落ちようとする頃であつた。
温泉部落を出外れて谷川を渡り終つたところから、間道とおぼしい小径をことさら選んで激しい傾斜を登つて行くと、やがて山岸へ現れて、そこから見晴らしのひらけた尾根伝ひの径が走つてゐた。