谷はすでに暗闇の底に沈み落ち、はるか下から、ほのぐらい靄の塊りが湧いてゐたが、空には幽かな明るさが残つてゐた。
径はまもなく少しづつ下りはじめて丁度山の中腹をうねるやうなぐあひになつたが、片側には下へ下へと切りひらかれた段々畑を見るやうになり、片側は蔓草や樹木密生した山の腹が頭上へかぶさるやうになつてきた。
この辺りへかかつてくると、それまでは見かけることのできなかつた人影が、ひつそりした山の腹から時々ひよいと現れて、闇の奥へ消えていつた。
谷はすでに暗闇の底に沈み落ち、はるか下から、ほのぐらい靄の塊りが湧いてゐたが、空には幽かな明るさが残つてゐた。
径はまもなく少しづつ下りはじめて丁度山の中腹をうねるやうなぐあひになつたが、片側には下へ下へと切りひらかれた段々畑を見るやうになり、片側は蔓草や樹木密生した山の腹が頭上へかぶさるやうになつてきた。
この辺りへかかつてくると、それまでは見かけることのできなかつた人影が、ひつそりした山の腹から時々ひよいと現れて、闇の奥へ消えていつた。