この辺りへかかつてくると、それまでは見かけることのできなかつた人影が、ひつそりした山の腹から時々ひよいと現れて、闇の奥へ消えていつた。
やうやく像がわかるくらゐの明るさだつたが、現れる人像の一つ一つがきまつたやうに同じ服装の女ばかりで、丁度ちやんちやんこのやうな厚い感じの仕事着にもんぺをはき、手甲・脚絆をつけてゐるが、背には粗朶らしいものを負うて、鉈や鎌の類ひの物を手にさげてゐるやうであつた。
恰も野生の動物のやうな軽やかな身のこなしで、見た目には手とも腰とも肩ともつかぬ一点に於て軽々と全身の調子をとりながら、スイ/\と歩きすぎて行くのであつた。