女が歩きだすのを見ると、蒲原氏のあらゆる力は一時に霧散し全ての疲労がこみあげてきて、石の冷めたさが肌に沁みる山径の上へ、みる/\べつたり尻もちをついてしまつたのであつた。
女は三四間行き過ぎてからふと振向いたが、蒲原氏が熊のやうに尻もちをつき、しよんぼりしてゐる有様を認めて、どういふ思ひにかられたものか立ち去りかねて暫く彳んでゐたが、蒲原氏はそれをみて甚だ悲しげな声をしぼり、
「あの、冬はこの径のあたりにも一丈の雪がつもるのですか?
女が歩きだすのを見ると、蒲原氏のあらゆる力は一時に霧散し全ての疲労がこみあげてきて、石の冷めたさが肌に沁みる山径の上へ、みる/\べつたり尻もちをついてしまつたのであつた。
女は三四間行き過ぎてからふと振向いたが、蒲原氏が熊のやうに尻もちをつき、しよんぼりしてゐる有様を認めて、どういふ思ひにかられたものか立ち去りかねて暫く彳んでゐたが、蒲原氏はそれをみて甚だ悲しげな声をしぼり、
「あの、冬はこの径のあたりにも一丈の雪がつもるのですか?