その翌日の暮れ方であつた。
石の落ちてきた曲路までなんとなく行つてみたいと思ひながら、蒲原氏はふとただ一人温泉をさまよひでたが、女のゐたと思はれる繁みの上へ坐つてみたり、辺りの木暗い叢をうろついてみたい想念は意外に強いことが分つた。
然しながら九十九折の山径を登りはじめてまもないうちに、さういふ考へも自然に薄れ、片側の木立の深い山の腹へ、ただわけもなく奥へ奥へと這入つてみたい思ひがしてきた。
その翌日の暮れ方であつた。
石の落ちてきた曲路までなんとなく行つてみたいと思ひながら、蒲原氏はふとただ一人温泉をさまよひでたが、女のゐたと思はれる繁みの上へ坐つてみたり、辺りの木暗い叢をうろついてみたい想念は意外に強いことが分つた。
然しながら九十九折の山径を登りはじめてまもないうちに、さういふ考へも自然に薄れ、片側の木立の深い山の腹へ、ただわけもなく奥へ奥へと這入つてみたい思ひがしてきた。