そこは兎口だつた。
漸く我に返つた思ひで本街道へ降りたところが、偶然下の温泉の方から何処行きとも分らない乗合自動車が通りかかつた。
それを認めた蒲原氏は咄嗟に車を呼びとめて乗りこんだのだが、ただ目当なく遠い所へ走り去りたい悲しい思ひがするばかりで、嫋々たる寂寥が無限の如くひろ/″\とさまよひ流れてゐるやうだつた。
そこは兎口だつた。
漸く我に返つた思ひで本街道へ降りたところが、偶然下の温泉の方から何処行きとも分らない乗合自動車が通りかかつた。
それを認めた蒲原氏は咄嗟に車を呼びとめて乗りこんだのだが、ただ目当なく遠い所へ走り去りたい悲しい思ひがするばかりで、嫋々たる寂寥が無限の如くひろ/″\とさまよひ流れてゐるやうだつた。