あの作品は僕の近頃のものでは異例に属し、近頃僕がほんとに書かうとしてゐることは、最極の血なまぐさゝにまみれた善と悪との問題で、近頃僕が諸方に書いた小論をお読みになるとこのことは分ります。
ところであの作品はその間の息抜きと言つておかしければ、所詮血まみれでさへ捨てがたい一つのノスタルヂイの心懐のために、いはゞそのベルスーズとして書いたもので他日作品集を出す時には、大人のための「童話集」とでも名付けた中へ収めますか。
かく言へばあの作品の意味もいくらか明瞭であの短評がさういふ文学の本質にふれてくれない限り正面から不満の言ひやうもないのです。