二ヶ月ばかりお目にかかりませんが、御元気のことは、時々人づてにきいてゐました。
さて、僕は今日、人々は笑ふばかりで、とりあつてくれさうもないことに就いてお喋りしたくなりましたので、君にあてて話しかける必要にせまられました。
東路の道のはてよりも、なほ奥つかたに生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひ始めけることにか、世の中に物語といふもののあんなるを、いかで見ばやと思ひつつ、徒然なるひるま、よひゐなどに、姉継母などやうの人々の、その物語、かの物語、光源氏のあるやうなど、ところどころ語るを聞くに、いとどゆかしさまされど、わが思ふままに、そらにいかでか覚え語らむ。