作中人物も亦、恋すれば泣き、別れては泣き、嫉妬しては泣き、嫉妬の言ひ訳をしながらも泣き、むやみやたらに泣きすぎて却つてがさつですらあるほどであります。
ところでこの原本は、後光厳院の宸翰として今日伝へられてゐるものが、最も古い写本だとのことなのです。
後光厳院と申せば北朝の天子ですが、殺伐な時代の、決して御満足であらせられたとは思はれない日々、手写するほどもこのやうな物語を愛された高貴な人の手を思ひ、人のいのちに宿る物語のなぜか遥かな悲しさに、しばらく感慨を禁じ得ませんでした。
作中人物も亦、恋すれば泣き、別れては泣き、嫉妬しては泣き、嫉妬の言ひ訳をしながらも泣き、むやみやたらに泣きすぎて却つてがさつですらあるほどであります。
ところでこの原本は、後光厳院の宸翰として今日伝へられてゐるものが、最も古い写本だとのことなのです。
後光厳院と申せば北朝の天子ですが、殺伐な時代の、決して御満足であらせられたとは思はれない日々、手写するほどもこのやうな物語を愛された高貴な人の手を思ひ、人のいのちに宿る物語のなぜか遥かな悲しさに、しばらく感慨を禁じ得ませんでした。